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Epic Games対Apple法廷闘争の続報です。先週金曜日、アメリカの連邦裁判所判事はAppleに対し、「Epicの開発者アカウント削除は禁止」とする仮命令を下しました。ただ、『フォートナイト』については依然としてApple側に復活させる義務はないとしています。
つまり、8月に出されたEpicのゲームエンジン”Unreal Engine”に関する一時差し止め命令は恒久的になったものの、当面の間『フォートナイト』がAppStoreに復活する見込みはなくなってしまいました。
公共の利益のため、Unreal Engineは守られた
今回の仮命令は、Appleの「iOS上のサポートを即刻停止」という荒業を封じたもの。Epic Games自身はもちろん、Unreal Engineは広く普及するソフトウェアツールなので、これに依存する多くの会社も、とりあえずほっと一息ついたことでしょう。
イボンヌ・ゴンザレス・ロジャーズ判事は「デジタルフロンティアの将来のため、Epic GamesとAppleがこの訴訟を起こすのは自由です。しかし、彼らの論争が傍観者に大混乱をもたらすべきではありません。したがって、公共の利益は圧倒的にUnreal EngineとEpic Affiliates側に有利に傾きます」と金曜日の判決で述べました。
きっかけは、Apple税を拒否したEpic Gamesによる下克上
経緯をご存じない方のために簡単な流れを説明すると、ことのはじまりは今年8月。App Storeのアプリ内決済時などに発生する30%手数料(いわゆるApple税)に不満を抱いたEpicは、世界的人気を誇る『フォートナイト』のゲーム内に直接課金制度を導入。Appleの独占体制を糾弾する徹底した劇場型の「フォートナイトの乱」を引き起こしました。
それに怒ったAppleが『フォートナイト』をAppStoreから削除すると、Epic Gamesはすぐさま独占禁止法違反でAppleを訴え、そこから両社の抗争が始まったのです。
両社譲らず、ユーザーが置き去りの法廷闘争に
その後Appleは、「Epicの行動はiOSエコシステム全体を弱体化させる恐れがある」として反訴し、報復として同社の開発者アカウントを削除する動きを見せました。するとEpic側は、Unreal Engineへのアクセス禁止に対する一時差し止め命令を勝ち取るなどして反撃。そしてAppleユーザーに対し、『フォートナイト』の新規アップデートが配信できないことを発表しました。
今のところ、彼らの激しい法廷バトルの終着点は見えていません。ロジャーズ判事は以前、来年7月までにはこの案件を陪審審理に持ち込むことを推奨していましたが、報道によるとAppleとEpic Gamesの双方は裁判官による判決を望んでいるとのこと。
金曜日の審理でロジャーズ判事は「今回の訴訟は、プラットフォームに依存するハイテク巨人とサードパーティ開発者との闘争における大きな試金石になった」と認めつつ、独占禁止を訴えるEpic側の主張が通るか否かは「未知数のことが多すぎる」としています。