X上の誤情報が44%増加。政治広告を復活させて大丈夫なのか

  • author Nikki Main - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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X上の誤情報が44%増加。政治広告を復活させて大丈夫なのか
Image: Ascannio / Shutterstock.com

政治広告はオッケー、でも誤情報には厳しく。それってむずかしくない?

「X」として再スタートしたTwitterが、政治広告も再スタートすることを発表しています。政治広告は2019年にTwitterで禁止されていました。

これは2024年の大統領選挙に先立ってのことで、Xは安全性と選挙チームの拡充のために従業員を採用すると述べています。

広告=収入

イーロン・マスクは誤情報、ヘイト行為や嫌がらせを監視していたスタッフの多くをすでに解雇してしまっていますが、Xは政治広告によって広がる誤情報にしっかり対抗していくと主張。

またユーザーがリアルタイムで興味のあることについて会話するには、政治広告を許可する必要があると主張しているようです。別の角度から見ると、ユーザーが政治広告について会話をすれば、Xは儲かるってことですよね...。

Xはブログで、「私たちはこのポリシーを更新して、最も有害なコンテンツ、すなわち脅迫したり欺いたりするユーザーの参加権を平和的に放棄させる対処をする一方で、政治的な議論を検閲せずに適切なバランスを取っています」と述べています。

ジャックは過去に政治広告には大反対

Twiiterの創始者ジャック・ドーシーは、Facebookが誤情報を拡散して利益を得ていることを非難し、Twitterでは政治広告の禁止を導入しています。

当時、Facebookは政治広告について事実確認をおこなっていなかったことがわかっています。

2019年当時、ジャックは「私たち自身がシステムを悪用して誤解を拡散させる行為を阻止するために一生懸命取り組んでいる、と言っても信頼性がない。でも誰かが私たちにお金を払ってユーザーに強制的に政治広告を見せるとしたら...その場合はお金を払う人たちは何でも言えてしまう状況になってしまう」とツイートしています。

誤情報がさらに溢れるのでは?

トランプ元大統領のようにヘイトスピーチや誤情報を拡散してきた人たちのアカウントを復活させた上で、政治広告も復活させ、でも政治広告での誤情報は厳しく取り締まるというのは、矛盾しているような気もしますね。

ドナルド・トランプ氏は2021年1月にジャックからアカウントを凍結させられて以来初めて、先週投稿しています。

トランプ氏が凍結させられた理由としては、誤情報を拡散し、連邦議会襲撃事件に関する会社の規則に違反したため。ちなみにトランプ氏のひさびさの投稿は、「選挙妨害絶対に屈しない!」という文言とマグショット(逮捕直後に拘置所などで撮影される人物写真)でした。

Xは方針の転換にもかかわらず、いまだに市民活動に違反する投稿にはラベルを付けて誤情報と戦うとしていて、「選挙への公衆の信頼を損なう意図を持った虚偽または誤解を拡散する内容の促進を禁止する一方で、自由で開かれた政治的議論を維持することに努める」と主張しています。

ヘイト行為や嫌がらせを監視・削除していたスタッフを大量解雇した後のXについて、「噂、陰謀論、虚偽情報が蔓延した人々の想像力の中心みたいな場所と化すリスクがある」と、コロンビア大学の教授でX上の誤情報を研究しているGita Johar教授はNBCニュースに語っています。

イーロンの買収以来誤情報が増加

今年の初めにおこなわれた研究によると、イーロン・マスクが2022年10月にTwiiterを買収して以後、Twitter上での誤情報が44%増加したとされています。

この研究では、490の「スーパースプレッダーアカウント」、つまり虚偽情報や陰謀論を宣伝するアカウントがあり、その原因の一つがイーロンがコンテンツを監視するチームを解雇したことによる可能性があると指摘されています。

Xは、安全性と選挙チームを拡充することによって、虚偽情報や誤情報による問題は起こらないと主張しています。また、ユーザーが政治広告を閲覧できるようにするために、グローバル広告透明性センターを立ち上げると述べています。広告透明性センターを設置することは、先週発効したEU連合のデジタルサービス法で必須とされています。