Beats Studio Pro使ってみた感想→価格を考えると物足りない

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
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Beats Studio Pro使ってみた感想→価格を考えると物足りない
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

Beatsのヘッドホン新モデル「Beats Studio Pro」。8月9日発売のApple(アップル)公式サイトを皮切りに、順次販売スタート。日本での価格は4万9800円です。

久しぶりのBeatsヘッドホンなので「とにかく買う!」と決めている人もいるはず。ただ、Beatsじゃなくてもいいという人は冷静な判断を…。

米Gizmodo編集部が発売に先駆けて使ってみました。以下、レビューです。


Beats Studio3ワイヤレスヘッドホンがリリースされた2017年にも思いましたが、Beatsのプロダクトは日に日によくなっていきます。Appleが買収したことで、デザインやハードウェアにそのリンゴ精神が流れているからでしょうか

Beats Studioシリーズ6年ぶりの新作Beats Studio Pro。高性能のアクティブノイズキャンセリング(ANC)とUSB-DAC内蔵でハイレゾ音源に対応したことは賞賛に値します。

ただ、先に言ってしまうと、もうちょっと欲しかったなというのが正直な感想。(米国では)350ドルという価格に期待する機能でないものがちらほら…。

Beatsのワイヤレスイヤホンは絶賛、一方でヘッドホンは…

Beatsというブランドが「ゴツめのヘッドホンを装着する=クール」というイメージを作り出したと思っていますが、ここ数年はヘッドホンよりもワイヤレスイヤホンの方に忙しかったようですね(その結果、イヤホンめちゃいい)。

Beats Fit Proは悪いところを探すのが難しいし、AirPodsで悩んでいる人にはBeats Studio Buds +をオススメしたくなります。

Beatsのワイヤレスイヤホンは、Apple傘下でありながらAppleブランドの強力なライバルです。

一方、ワイヤレスヘッドホンはといえば、最後のリリースが2019年のBeats Solo Pro。その当時もヘッドフォン自体はいいけど、300ドルという価格を踏まえると手放しで褒められないという気持ちでした。

その感想を、まさか4年たった今Beats Studio Proにも抱くことになるとは…。

Beats Studio3から手堅くアップデートされたBeats Studio Pro。ただ、AppleのH1ヘッドフォンチップの搭載がないこともあり、「550ドルのAirPods Max(日本では8万4800円)が予算オーバーならこっちにしたら?」とは言えません。

Beats Studio Proの噂が聞こえ始めたころは、AirPods Maxの安価オルタナかもって期待したんだけどな…。

Beats Studio Proとは?

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Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

Beatsでは4年ぶりのワイヤレスヘッドホン新モデル。進化したANC、空間オーディオ対応、USB-DAC内蔵な上、USB-C接続での利用も可能。Android端末への接続も簡単。

好き:AppleのAirPods Max、SonyのWH-1000XM5に迫るANC性能。Androidユーザーでも接続簡単で使い勝手よき。

いまいち:低音に物足りなさを感じるものも、好きにいじれるイコライザーがないので残念。着脱検出がなく、ヘッドホンを外しても自動再生停止しない。

総評:6年前のBeats Studio3 ワイヤレスヘッドホンからアップグレードした最新Beatsヘッドホン。ANC性能はいいものの、着脱検出や端末切り替えなどの欲しい基本機能でないものがあって残念。


10年以上愛されるおなじみのデザイン

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Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

強めのマーケティング効果のおかげか、市場でBeatsは最も認知度の高いヘッドホンのひとつ。左右のイヤーカップにある小文字の「b」ロゴはキャッチーですが、理由はそれだけじゃないと思います。

Beatsは消費者受けするデザインを見つけ、それをマーケティングとセレブの力でクールなものに押し上げ、10年以上コミットしてきたのが大きい。

Appleデザインの影響を強く感じるBeats Solo Pro(今はディスコン)とは違い、新Beats StudioはBeats Studio3ワイヤレスなど昔からのBeats Studioの血筋をついだデザインになっています。どっからどう見てもBeatsっていうデザイン、間違えようがない!


前モデルほど圧迫感はなし

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イヤーパッドは柔らかめのメモリーフォーム。取り外し、取り替えは不可。
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

Beatsヘッドホンのあるあるクレームに、バンドとイヤーカップの締め付けを感じるというのがあります。結果、長時間の使用はいまいち。

Beats Studio Proでは、イヤーパッドがより柔らかいメモリーフォームになりクッション性が増したおかげか、これが軽減されています。

とはいえ密閉性は高く、やはり外すと「ふぅ…」と声がでちゃうくらいの開放感はあるんですけどね。

近年、修理・交換可能かどうかを気にする人は多いと思いますが、AirPods Max含め他ヘッドホンとは違って、このメモリーフォームのイヤーパッド、取り外しや交換ができません


ヘッドバンドの金属見えが安っぽい

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ヘッドバンドを伸ばしたときに見えるメタルが、この価格帯ではちょっとチープ感ある。
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

デザインで残念なのはヘッドバンド。長さ調整ができるのですが、 AppleのAirPods MaxやSonyのWH-1000XM5と違って、伸ばした時に伸ばしたことがハッキリわかるデザインになっています。

伸ばすと外観のプラパーツがパカっと割れて中のメタルが見えてしまうのが、350ドルのヘッドフォンとしてはチープさが否めない…。


折り畳める&キャリングケースつき

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旅行用ポーチみたいな見た目のケース。
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

ヘッドバンドで文句いいつつも、折り畳めるという仕様は大好きです。同梱のキャリングケースにすっぽり。

ケースは洗面ポーチくらいの大きさです。シンプルだけどこれでいい(AirPods Maxのケースもなんとかして)。


Android対応のApple製品である

Apple傘下ではあるものの、Beats製品はAirPodsみたいにiPhones・iPads・Macをひいきしません。Beats Studio Proには、むしろAndroidのみという機能もあるくらい(後述します)。


ハード面の使い勝手

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左のイヤーカップのbロゴ部分は物理ボタン。
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

過去のBeats Studio同様、ヘッドホン自体の物理機能は最低限。タッチパッドやダイヤル操作はありません。が、左のイヤーカップのbロゴが物理ボタンになっています。

押すと再生コントロール、長押しで音声アシスタント発動。ヘッドホンがApple端末に接続されていると「ヘイ、Siri!」できます(Google Assistantの音声発動機能はなし)。

bロゴボタンの上下にある小さなボタン、これ音量調整です。音量だけ別になっているのは使い勝手よし(出っ張りがあるとか手で触ったときわかりやすいともっとよかった)。

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Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

右のイヤーカップには、小さなシステムボタンあり。これは電源ON/OFF、Bluetoothペアリング、ノイキャン切り替えに使います。

右イヤーカップにはUSB-Cあり。基本は充電用(バッテリーもち最大40時間)ですが、オーディオ用としても使えます。


イコライザー・H1チップ・着脱検知なし

有線で音楽を楽しめるUSB-Cオーディオ(USB-DAC)対応。これで聞いているときは、ANC・外部音取り込みモードは使用不可、3種類のサウンドプロファイルオプション(Beats Signatureプロファイル・エンターテイメントプロファイル・会話プロファイル)あり。

ただ、あくまでサウンドプロファイルであり、イコライザーで好きにいじることはできません。これも、350ドルのヘッドフォンとしては物足りなく理由のひとつ。

ハード面で物足りないほかの理由は、チップ。AppleのW1・H1オーディオチップが入っていないんです…。それでも、空間オーディオの頭のトラッキングできるし、紛失時の端末追跡もできるんですけどね。

複数端末間の切り替えもできるのですが、これはAndroid/ChromeOS使用時のみ。Apple端末の場合、一度に1端末しか接続できません。

その他のガッカリ点としては、着脱検知がないこと。なので、頭から外しても、音楽は自動で停止されずそのまま鳴り続けます。


ANCが期待値以上

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ANCがんばってる!
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo US

ソニー vs. Apple vs. Boseのアクティブノイズキャンセリング(ANC)戦争には参加しない姿勢のBeatsですが、それでもかなりANCいいんです

騒音環境サンプルを家のホームシアター設定で試してみましたが、バスや飛行機に乗っているときの低音のザワザワは非常にうまくカットしていました。

一方、高音は多くのリアルタイムANCハードウェアが苦戦するとおり、Studio Proも同じ。カフェなどでの人の話し声は、ANCオンにしても完全に遮断はできません(それでもかなり静かにはなるけどね)。

Beats Studio ProのANCはBeatsのワイヤレスイヤホンよりも明らかに優れているのは確か。ヘッドホンならではのイヤーカップにより物理的遮音効果のおかげかな。

AppleのAirPods Max、SonyのWH-1000XM5を超えるノイキャン性能とは言いませんが、がんばっています。1世代前のWH-1000XM4とならほぼ互角だと思います。


全体的なサウンドクオリティは平均点

イコライザーで好きに調整ができないため、プリセットのモードそのものに頼ることになります。過去モデルでは「ギリ許容範囲」という感想でしたが、今回はそれよりも上。予想(覚悟)していたよりもずっとよかった

SonyのWH-1000XM5(個人的にはプリセットはベースがちょい重すぎる気がしてる)と比べると、低音やキックドラムに重みがなく、若干こもった音に聞こえます。

ボーカルやエレクトロ系など高音域も同様。音の周波数で、最高音と最低音が圧縮されて周波数幅は小さくなっているような気になります。

ただ、この音質にがっかりしたと騒ぎ立てるつもりはありません。なぜなら、AirPods Maxも値段の割には音そこそこだからです。

音質を最優先するなら、同価格帯でBeats Studio Proよりいいものは間違いなくありますね。


買い?

Beatsファンで、ヘッドホン・イヤホンはBeats一択という人は買いです。Beats Studio 3・Beats Solo3から確実にアプデされています。特にANCは進化しています。

Beatsにこだわらないという人なら、一度冷静になりましょう。もし、僕が350ドルの予算でヘッドホン買うなら、もうちょっと頑張って400ドルのSony WH-1000XM5買いますね

ANCもこっちのほうがいいし、マルチ端末接続できるし、着脱検出もあるし。それか前モデルのWH-1000XM4。こちら同じ350ドルですが、前モデルなのでよくセールしてるの見ますから。

もし、Beats Studio Proが150ドルから200ドルならオススメします。でも、350ドルという価格設定ならほかを探す、かなぁ。

Beats Studio Proってどんなヘッドホンなの?

オールマイティに使える1台です。Beats(ビーツ)の新作ヘッドホンって久しぶり。しかもハイエンドラインのStudioシリーズは超ご無沙汰してました。一見して...

https://www.gizmodo.jp/2023/07/beats-studio-pro-2.html


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