ドローンレースでAIが人間のチャンピオンに勝つ

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  • author Mack DeGeurin - Gizmodo US
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ドローンレースでAIが人間のチャンピオンに勝つ
Screenshot: UZH Robotics and Perception Group via YouTube

チェス、囲碁、あるいはビデオゲームなど、さまざまな分野で人間に勝利してきたAI。今度は、人類最高のドローンレーサーに勝利しました。

自立型AI搭載のドローン「Swift」が、先日行なわれたドローンレースにて、3人の世界チャンピオンであるドローンパイロットに勝ったそうです。

Nature誌に掲載された論文によれば、チューリッヒ大学の研究者が開発したというこのSwiftは、25レース中15レースで勝利し、最速のラップタイムも記録したとのこと。

研究者たちは

この研究は、ロボット工学とマシンインテリジェンスにとって画期的なものといえます。この成果が自立型車両、航空機、パーソナルロボット、その他のアプリケーションなど、ハイブリッド学習ベースの物理システムにおいて、今後の新しい展開を促す可能性も考えられます。

と語っています。


ドローンレースとは?

この競技は、一人称視点のドローンレースという人気急上昇中のスポーツです。

普通の(人間の)競技参加者は、カメラが取り付けられたクワッドコプター(ドローン)を、カメラに接続されたヘッドセットを被りながら操縦します。

障害物が設置された複雑なコースを、いかに速く通過できるかをタイムで競います。また、レース中にドローンがぶつかったりクラッシュしないことも重要です。

こうしたドローンレースでは、加速していくと時速80マイル(約128km)にも達するほど速くなるとのこと。


今回のレース結果

前述の通り、Swiftは25回のレースにおいて15回勝利しました。ラップタイムでも、全体の最速である17.47秒を記録しました。この最速のラップタイムは、人間の記録よりも約0.5秒速いものでした。

対戦したのは、Alex Vanover氏、Thomas Bitmatta氏、Marvin Schaepper氏の3名。彼らはそれぞれ過去にドローンレースで優勝したチャンピオンたちです。


自立型AI搭載のドローン「Swift」について

Video: UZH Robotics and Perception Group/YouTube

上の動画では、今回のレースの様子とSwiftシステムについて説明されています。

今回のレースでは、3名のチャンピオンたちは、コースの確認とトレーニングに1週間をかけました。同時に、Swiftもトレーニングを行ないましたが、コースをシミュレートしたデジタル環境での学習でした。

論文によると、Swiftはこのシミュレーション中に外部から収集した追加データとともに深層強化学習を行なったとのこと。

この深層強化学習とはマシンラーニングにおける「強化学習」と「ディープラーニング」を組み合わせたもの。これまでチェスや囲碁などのAIモデルで、人間を凌駕するパフォーマンスを発揮するために使われたのと同じトレーニング手法です。

ただし、ドローンレースというものは、ボードゲームやデジタル空間での制限には縛られず、現実世界を移動する物理的なオブジェクトが関与するため、これまでの例とは完全に同じではありません。

Swiftは、レース中にカメラで収集したビデオを取り込み、そのデータを通過するゲートを識別するニューラルネットワークに送信します。さらに、搭載されたセンサーの組み合わせにより、ドローン自身の位置、速度、方向などを制御。

これらの一連の行動が、自律的に、そして高速に行なわれることにより、レースを実現していたのです。


マシンは周回を重ねても疲れない

研究者たちは、人間とSwiftでコースにアプローチする方法にいくつか興味深い違いがあることに気づいたといいます。

Swiftのシステムは、周回を重ねるごとにより安定し、コースを回る際により小回りがきいているように見える点を指摘していました。

よりタイトになっていく旋回により、ラップタイムをコンマ数秒ずつ繰り返し短縮。最終的にドローンがレースで優位になっていくのです。

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Screenshot: UZH Robotics and Perception Group via YouTube

Swiftのパフォーマンスは、チャンピオンたちに衝撃を与えたようです。

動画の後半では、Bitmatta氏が「これは正気の沙汰じゃない」と声を上げているのが聞こえます。彼は論文で紹介されたコメントでも

可能性は無限だと思います。これは世界を変える可能性のある何かの始まりといえるでしょう。

とも述べました。

一方で、Schaepper氏は今回の結果に落胆したようで、以下のようにコメントしました。

マシンとのレースは普段とは違うものように感じました。なぜならマシンが疲れないことはわかっていましたから。

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