なぜ、アップルは「今」Lightningを脱却したのか

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なぜ、アップルは「今」Lightningを脱却したのか

噂通りiPhone 15ではUSB-Cが採用されました、わーい!

Apple独自規格だったLightningからの脱却! USB-Cというこの1点だけでも、買い替え要因となる人は少なくないかもしれません。それほど、独自ケーブルの存在は鬱陶しかった。

Lightningが発表されたのは2012年、iPhone 5の年でした。10年近くも続いた規格から今USB-Cへと移行するのには理由があります。

遅かれ早かれ

統一されていない充電規格にブチ切れ続けていたEUが、USB-C充電義務化に乗り出したのは2022年10月のこと(法案可決)。EU圏内において販売されるスマートフォンなどの電子機器には、2024年12月までに充電用のUSB-Cポートを搭載する必要があります。現段階で1年ちょっとの猶予があるもの、遅かれ早かれ変更は必至。

EUが2024年12月をデッドラインとしているのは、スマートフォンだけではありません。タブレットやデジタルカメラ、イヤフォン、ワイヤレスキーボードなども含まれます。となれば、今回iPhone 15のタイミングで、AirPods Proの充電ケースがUSB-Cポート対応したのも当然。

長年求められ続けてきたUSB-C対応

Appleは10年強もの間Lightningを推し続け、近年のUSB-C対応の流れが強まる中でも、iPhoneという超主力製品で頑なにLightningを貫いてきました。そこには、サードパーティがアクセサリを開発するときに支払うライセンス費用というビジネスがあったからかもしれません。

ユーザーからはUSB-Cに対応してほしいという声があがっていたのに。

USB Type-C規格が発表された2014年以来、多くのガジェットや家電でUSB-Cが採用されてきました。iPhoneを除いた世界では、ほぼスタンダード規格だったと言えます。実際、AppleもMacBookやiPad、Apple WatchでUSB-Cを採用しました。

が、一部採用という中途半端な対応によって、Appleユーザーは同エコシステムの中で2つの充電規格を使い分けなくてはいけないという超めんどくさい状態に陥ってしまったのです。充電しようと思ったときの、「あ、これじゃないわ」のイライラは日常生活を脅かすレベル!

DIYでUSB-C充電ポートをのっけた魔改造iPhone Xが、ネットークションで8万ドル以上の値をつけ落札されたことからも、どれだけUSB-C対応iPhoneが求められていたかがわかります。

USB-C対応でiPhone 15への移行を促す

iPhoneにおけるUSB-C搭載は、もちろんEUの義務化が迫っているから。ただ、Appleとしては、買い替えをうながすチャンスでもあるわけで…。

モバイル端末を販売するSellCellの調査では、実に44%のAndroidユーザーが、USB-C対応でiPhone 15への乗り換えを検討すると回答しています。iPhoneユーザーの買い替えじゃないですよ、Androidユーザーの切り替えですよ!?(OSの乗り換えは、けっこうしんどいというのにですよ!?)

ちなみに、同じUSB-C対応でも、iPhone 15とiPhone 15 Proでは違いがあります。それは、USB 2かUSB 3かということ。iPhone 15はUSB 2なので、転送速度はLightningと同じなんです。

スマートフォンの出荷台数成長が停滞していると言われている2023年。修理する権利の注目度も年々高まり、1つの端末をできるだけ長く使いたいという人は増えています(端末価格そのものも高くなっているしね)。

USB-Cを機に買い替え検討。せっかくなら長く使いたいからトリプルカメラ&最新チップ&転送速度の早いUSB 3…、てことでiPhone 15 Proを選択する人は少なくないはず。いっそ、思ったよりも価格が抑えられた気がするiPhone 15 Pro Max…。

なるほど、AppleがiPhone 15 では高位機種の売り上げ過去最高を狙うのも理解できますね。