名門Marshallのミニスピーカー「Emberton II」と「Willen」、買うならどっち?

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  • author Phillip Tracy - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
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名門Marshallのミニスピーカー「Emberton II」と「Willen」、買うならどっち?
Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

2022年7月19日の記事を編集して再掲載しています。

アイコニックな外観は小さくてもそのまま。音質は?

アンプやスピーカーの名門メーカー・Marshall(マーシャル)から、BluetoothスピーカーEmbertonの続編となるEmberton IIが登場しました。今回は小さな弟分のWillenも一緒です。初代Embertonを気に入って使ってきた米GizmodoのPhillip Tracy記者がレビューして、Emberton IIとWillenを比較してますので、以下どうぞ!


Bluetoothスピーカーを選ぶことは、大学で専攻を選ぶことに似てます。どこに行くか最初から決まってない限り(Bluetoothスピーカーの場合、思い入れのあるメーカーでもない限り)、全部を試す時間もお金もないんです。

なので、ミュージシャンや音楽ファンが大好きなプレミアムオーディオブランドのMarshallがポータブルBluetoothスピーカー・Embertonを発売したとき、僕はその魅力に抗えませんでした。Embertonはずっと僕の忠実な相棒となってくれましたが、先日Marshallから、最新のEmberton IIのレビュー機が送られてきました。おまけに、もっとポータブルなWillenも試せました。

そこで僕はEmberton IIとWillenの両方を使い比べて、どっちがどういいかレビューしてみます。まず言いたいのは、どちらのモデルもコンパクトながら、Marshallのオーディオチューニングがいかんなく発揮されていることです。あとはMarshallのアイコニックなデザインが、ブラスのアクセントやレザー風の外装も含めて、もれなく付いてきます。今回のアップデートでは、ステレオサウンドを作り出すマルチスピーカー機能も加わりました。

Emberton IIもWillenも、それぞれの価格帯の中で一番機能が豊富とか、一番音質が良いとかってものじゃありません。でも、ポータブルなワイヤレスサウンドを求める人にとって、最高級のスピーカーであることには変わりません。

Marshall Emberton II

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Emberton IIは先代よりバッテリーライフが長くなり、マルチスピーカー対応にアプリのサポートも追加されました。でも他と違うのはやっぱり、エレガントなデザインにパワフルな音です。

これは何?:ポータブルBluetoothスピーカー。

価格:169.99ドル(約2万3000円)

好きなところ:パワフルでバランスの取れたオーディオ、エレガントなデザイン、IP67の防水性能、長いバッテリーライフ、マルチスピーカー対応。

好きじゃないところ:ややお高い、AACとaptX非対応、3.5mmジャックなし、マイクがないのでスピーカー通話できない。


Marshall Willen

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Willenは超コンパクトで美しい防水デザインに、サイズのわりに強力なサウンド。でもパフォーマンス同じくらいでもっと安いのがあるのが、微妙なところ。

これは何?:超ポータブルで旅行に優しいBluetoothスピーカー。

価格:119.99ドル(約1万6500円)

好きなところ:すごくコンパクト、ものすごく上質な作り、音量大きくできる、マウンティング用ストラップ便利、IP67の防水性能、マルチスピーカー対応。

好きじゃないところ:低音が物足りない、ちょっと高い、AAC・aptX非対応。

お値段の問題

MarshallのBluetoothスピーカーはプレミアム製品なだけに、お値段もそれなりです。小さいWillenは119.99ドル(約1万6500円)、大きいEmberton IIは169ドル(約2万3000円)で、後者は前モデルより20ドル(約2700円)値上がってます。

アイコニックなデザインをミニチュア化

味気ないデザインのBluetoothスピーカーが多い中で、Emberton IIもWillenもプレミアム感があって新鮮です。Marshallのアンプやキャビネットを使ったことのあるミュージシャンなら、特徴的なデザインに思わず頬がゆるむかもしれません。クラシックな書体のMarshallロゴが、黒いグリルの真ん中で金色に輝きます。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

新しいEmberton IIの黒と金の配色はラグジュアリー感を醸してますが、個人的には前モデルのシルバーグリルx白文字のコントラストが好きでした。どちらにせよ、今あるBluetoothスピーカーの中ではベストなルックスだと思います。新しいレザー風ゴムの外装は見た目も感触も素晴らしく、デザイン性を高めてます。

Emberton IIとWillenどちらか迷ったら、やっぱりサイズで選ぶべきでしょうね。Emberton IIはコンパクトと言いつつも若干大きくて、6.3 x 3 x 2.7インチ(16.0 x 7.6 x 6.9 cm)で重量は1.5ポンド(約680g)もあります。一方Willenは4 x 4 x 1.6インチ(10.1x 10.1 x 4.1 cm)で重量0.68ポンド(約308g)です。手に持ってみると、Emberton IIにはずっしり感がある一方、Willenは旅行先にも気軽に持っていけそうです。どちらもIP67防水なので、うっかり水がかかったり雨に降られたりしてもだいじょうぶです。

操作は直感的

Emberton IIとWillenのデザインで、形以外に違うのは、操作用ノブの大きさと配置です。Emberton IIは上部に丸い四方向キーが、Willenは前面にサムスティックがあり、押すというよりつつくタイプです。どちらも機能的で、フィードバックの手応えがうれしいです。ただ、Willenのノブは小さくて、スピーカーの表面と同じ高さしかないので、ちょっと動かしにくいです。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

コントロールノブでの音量や再生の操作は直感的で、ボタンを数秒長押しすると電源オンオフできます(個人的には、電源専用ボタンをポチッとひと押しのほうが楽なんですが)。音量大は上フリック、音量小は下フリック、今の曲をリプレイは左フリック、その前の曲にするには左フリック2回、次の曲にするには右フリック、といった具合です。ポンとひと押しすると、再生・一時停止です。スピーカーの上部には赤いLEDのバッテリー残量表示と、丸いBluetoothペアリングボタンがあります。

機能はWillenの勝ち

なんでか、小さいWillenにはマイクがあるのに、大きいEmberton IIにはありません。だからWillenでは通話ができるんですが、大きくてより高価なEmberton IIではできないっていう謎があります。

WillenはオフィスとかWeWorkとかあちこちに持っていって、ビデオ会議にも使えるっていう位置づけなんでしょうか? でもリモートワーカー的にはEmberton IIもコンピューターのスピーカーにしたい場合もあるので、スピーカーホン機能は入っててほしかったです。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

Willenのもうひとつ気が利いてるのは、背面に斜めに付いたストラップです。片方の端が着脱できて、ストラップをリュックのショルダーベルトとか自転車のハンドルとかに通せるようになってます。ただストラップの幅はWillen本体の斜めの幅しかなくて、伸縮するのはいいんですが、もっと幅広いものに固定したいときは厄介かもしれません。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

音はEmberton IIの勝ち

Emberton IIもWillenも、それぞれのサイズのわりに、パワフルに空間を満たす音を作りだせます。Emberton IIはデュアルの2インチフルレンジドライバーとふたつのパッシブラジエーターで、驚くほどクリアな高音と十分な低音を生みだし、豊満な音場を醸しています。

想定どおり、Emberton IIの音は最高です。どんな音でもWillenより良く聞こえて、低音はより深く、中高音域はなめらかでバランスがとれています。Willenもこのサイズとしては優れたスピーカーですが、低音が物足りないので、ジャンルによってはパンチ不足になります。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

たとえば低音が効いたJessie Reyezの『FRAUD』だと、Emberton IIはズシンズシン来てましたが、対するWillenでは木をコンコンしたみたいな感じでした。Emberton IIはミッドレンジでちょっとモヤっとするところがありましたが、全体的にこの曲ではEmberton IIのほうが良く聞こえました。

もっとライトな曲では、ふたつのスピーカーの違いがわかりにくくなります。高音多めのJames Vincent McMorrow『Cavalier』は、Willenも難なくシャープな音を響かせました。Emberton IIも同じく素晴らしい音でしたが、よりバランスが取れて、でもWillenよりはボーカル控えめでした。

ロックやEDM、ヒップホップではEmberton IIのほうが楽しめました。Willenのパンチはこのサイズとしては強いんですが、この手のジャンルだとシングルの2インチドライバー、デュアルパッシブラジエーターの限界が見えてしまいます。The Killersの『Mr. Brightside』は電子音とBrandon Flowersのなめらかなボーカルが相まって、スピーカーのテストに向いてます。Willenではドラムがシャープで派手ですが、シンバルは弱々しく聞こえます。とはいえボーカルもギターも、ノートPCで聞いてるときみたいにぼやけません。

Emberton IIの場合、スピーカーがひとつ多い分、もっとバランスが取れたフルな音場になります。Emberton IIのほうがダークで太い音を得意としますが、ボーカルや高音がかき消されるほどじゃありません。

どちらのスピーカーでも低音量にしても音質は変わらなかったので、間近で聞いたりBGMで流したりするのにも適しています。

スタックモードとバッテリーライフ

WillenとEmberton IIを複数台ペアリングして、より没入感あるサウンドにもできます。名付けて「スタックモード」に入るには、まずひとつのスピーカーのBluetoothボタンを3回押し、次に接続するスピーカーのBluetoothボタンを2回押すだけです。WillenをEmberton IIにつないでみたところ、しっかりとステレオサウンドを作りだしてくれました。

Emberton IIもWillenもBluetooth 5.1とSBCコーデック対応ですが、iPhoneやAndroidで使われるAACやaptXには非対応です。接続はしっかりしていて、再生元のデバイスが90平米くらいある僕のアパートメントの反対側にあっても切れることはありませんでした。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

MarshallのBluetoothアプリは、シンプルで使いやすいです。スピーカーのペアリングもすぐできて、電源を入れてアプリを開き、画面上のプロンプトに沿って操作するだけです。これでスピーカーのOver the airでのアップデートができ、あとはアプリ内にはベーシックなEQのプリセット(Marshall、Push、Voice)と、スタックモードの使い方ガイドがあります。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

バッテリーライフはWillen、Emberton IIともに素晴らしいです。Willenは1充電あたり推定15時間持ち、JBL Flip 6より3時間長いです。ちなみにBose SoundLink Microは6時間しか持たず、SoundLink Flexは12時間でした。この数字は推定でしかなく、使うときの音量によって変わります。Emberton IIは30時間持ち、先代の10倍、UE Boom 3の2倍もあります。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

買うべき?

初代Embertonを気に入ってる僕としては、Emberton IIは迷わずおすすめできます。先代よりもバッテリーがずっと長くなり、複数スピーカーのペアリングやアプリでの設定もできるようになりました。

Emberton IIに足りないところを挙げるとしたら、3.5mmジャックがあればもっと良かったと思うし、さらにマイクが(Willenにはあるのに)ないのは本当に不思議です。ハイレゾファイル再生用の新しい規格にいくつか非対応なのも残念です。そしてお値段は169ドルなので、Bose SoundLink FlexやUltimate Ears Boom 3といった強力なライバルがいます。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

旅行に連れて行ったりバックパックにくっつけたり自転車に載せたりできる超ポータブルなスピーカーがほしいなら、Willenは良いチョイスだと思います。ただ買う前に、Bose SoundLink Color IIと比べてみることをおすすめしたいです。バッテリーライフは、Willenのほうがずっと長いんですけどね。

全体的にEmberton IIもWillenも有能なポータブルBluetoothスピーカーで、優れたデザインにパワフルなサウンド、そして複数台ペアリングのような便利機能もあります。機能的に同等の競合モデルよりもお値段高めって問題はあるんですが、その分ちゃんとプレミアム感が手に入りますよ。

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