YMOのアルバムをモチーフにした「テクノ屏風」開封の儀に潜入!

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  • author 巽英俊
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YMOのアルバムをモチーフにした「テクノ屏風」開封の儀に潜入!
Photo: Victor Nomoto(Metacraft)

先日紹介したYMOと日本伝統工芸のコラボ「テクノ屏風」。

テクノ&エキゾ感すごい! YMOのジャケットが金屏風になった

テクノよ永遠に。先月、YMOのドラマー高橋幸宏さんが逝去され、多くの音楽ファンに衝撃を与えました。打ち込みにぴったり沿った正確さなのに、抜群のグルーブ感を生み...

https://www.gizmodo.jp/2023/02/ymo-gold-byobu.html

その「開封の儀」が日本橋のレストランバー・水戯庵で開催されました。dommuneで配信されたのでご覧になった方も多いかもしれませんが、「開封の儀」の先駆者であるギズモードもさりげなく潜入してきたので、当日の模様をレポートします。

実現には2年以上の歳月が

YMOはもともとオリエンタルな志向を強く持ったグループでした。スタート時のコンセプトはマーティン・デニーとディスコの融合でしたし、YMO以前の細野晴臣さんはトロピカル3部作を通じて逆輸入されたようなエキゾチックサウンドを追求していました。坂本龍一さんも芸大でアカデミックな西洋音楽を学びつつ、日本やアジアに伝わる民族音楽に強い関心を抱いていました。YMOと和テイストは親和性が高いのです。

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U/M/A/A代表、弘石雅和さん

まず最初に今回のテクノ屏風を生み出したU/M/A/A代表の弘石雅和さんによるご挨拶。弘石さんがテクノ屏風を着想したのは2年以上前のこと。そこから協力してくれる工房を探したり、出来栄えを何度も修正したりと、発売に至るまではなかなかの難事業だったようです。

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武楽座の高橋千さんと岩見理奈さんによる祝舞

まずオープニングは武楽座の高橋千さん、岩見理奈さんによる厳かな祝舞からスタート。

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東野珠美さんの笙と、内田輝さんのクラヴィコードによる演奏

その後に東野珠美さんの笙(しょう/雅楽の管楽器)と、内田輝さんのクラヴィコード(鍵盤楽器の一種)による「東風」の演奏へと続きました。

東野さんは坂本龍一さんが手がけた映画『御法度』のサントラにも参加していて、アルバムも坂本さんのレーベルからリリースしています。内田さんも過去に坂本さんのために自作のクラヴィコードを提供したことがあり、2人ともYMOに縁が深い楽器奏者です。笙とクラヴィコードの複雑な倍音は、「東風」のメロディによくマッチしていました。

色味の再現へのこだわり

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「歴清社」久永朋幸さんと「シャワー」舘龍太さん

次に屏風の製造を担当した工房「歴清社」の久永朋幸さんと、今回の屏風にNFTの導入を担当した「シャワー」の舘龍太さんが、弘石さんと共に登壇。製造の苦労について語ってくれました。

歴清社は広島で118年の歴史を持つ工房なのですが、洋金箔の上に高精細スキャンされたイラストをインクジェット印刷するのは初の試み。色味を微調整するために6回も色校正を出すなど、質感へのこだわりは相当なものだったようです。また屏風にNFTデータを収めたNFCのチップを埋め込んだことによって、フィジカルアートの証明書としても活用でき、2次販売時の権利をクリアにすることなどにも活用できるという発展性も見込めます。

ヤンキーも好きだったYMO

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吉村栄一さんとケン・イシイさん

続いてYMO関連の著作が多いライターの吉村栄一さん、dommuneの宇川直宏さん、ケン・イシイさんらによる対談。小学校高学年でYMOを体験したリアルタイム世代たちが、いかに当時のインパクトがすごかったのかを語っていました。

イシイ「友達のお兄ちゃんに聴かせてもらったのが最初。当時はテレビゲームに夢中だったから、ゲームの音がするって衝撃だった」

宇川「吹奏楽部がYMOを演奏していたもんね」

吉村「当時は暴走族もカーステでYMOをかけてました(笑)」

宇川「眉毛を剃るか、もみあげを剃るか(笑)。80年代の日本を象徴する存在だったのは間違いない」

イシイ「スタンダードを作った人たちだし、今でもワン&オンリーな存在ですよね」

イベントの途中には今回の屏風のオリジナルジャケットを手がけたルー・ビーチさんと、アルファレコードの創業者である村井邦彦さんのビデオメッセージも流されました。ルー・ビーチさんはあのイラストを美しい屏風として蘇らせた日本の工芸の素晴らしさを称賛。屏風のエディション#1を贈呈されてご満悦な様子。

村井さんは自身が「翼をください」などの名曲を生み出した音楽家だということもあり、今でもYMOに対して音楽家としてのシンパシーを強く感じているようです。当時の苦労や楽しかった思い出と共に「時代を象徴する音楽は必ず後世に残る。YMOはそういう音楽だった」と語っていました。

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©️TECHNOH LAB.

開封の儀の後は、能楽師の辰巳満次郎さんとケン・イシイさんのDJによる「TECHNOH」なるパフォーマンスが深夜まで繰り広げられました。能とエッジの効いたテクノが想像以上に相性が良く、またまた和とテクノのマリアージュを再認識させられました。

テクノ屏風は限定50隻。すでに結構なオーダーが入っている模様なので、YMO&テクノファンはぜひこちらをチェックしてみてください。

また、3月11日(土)~3月26日(日)にかけては、港区三田の弘法寺にて実物の屏風を見ることができる期間限定展示会も開催されます。詳細は以下の通りなので、気になる人は足を運んでみてください。

■開催曜日、月、火、金、土、日

■平日:12時~18時 土日:10時~12時、13時~19時

■完全予約制(チケット無料) 各開始時間30分前までのご予約

ご予約は下記のサイトより:https://technobyobuohirome1.peatix.com/

source : テクノ屏風